不妊治療diary

36歳・結婚4年目のオマルが綴る、男性不妊と、働きながらの子づくりにまつわるよしなしごと

【体外1周期目D22】36.77

やっと高温期。

 

田丸公美子『シモネッタの男と女』を読んだ。

作家でロシア語通訳者だった故・米原万里の仕事仲間で、親友でもあったイタリア語通訳者・田丸公美子のエッセイ。副題に「イタリア式恋愛力」とあるけど、恋愛力というよりは、人のもっと多面的な魅力…強さと弱さ、美点と欠点、賢さと愚かさ…みたいなものを描いた群像劇。

 

観察眼や描写の瑞々しさが見事で、語られる見ず知らずのイタリア人の人生に引き込まれる。人間は豊かだなあという、漠然と幸せな読後感。

 

特に、6編目の米原万里についての章は、昨日深夜にベッドで読みながら泣いてしまった。

 

あとがきに、米原万里の実質的な絶筆として、「坂」という短文が載っている。

 

---以下引用---

「坂」

登るときには希望があって、降りるときには…勇気がいる。

まっすぐで平坦な道は退屈だ。私は起伏にとんだ道が好き。

---

 

なんでもないような文だけれども、死の直前にこれを書ける人の潔さを思う。男友達だった佐藤優とのエピソードも興味深い。

 

まっすぐで平坦な道は退屈。昨日も書いたけど、先の見えなさを楽しめるようになりたいと思う。産めるのか産めないのか、仕事で何を成し遂げられるのか。坂を降りる勇気が必要なときを見極める。また、次の坂を登るために。