坂
【体外1周期目D22】36.77
やっと高温期。
田丸公美子『シモネッタの男と女』を読んだ。
- 作者: 田丸公美子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/02/08
- メディア: 文庫
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作家でロシア語通訳者だった故・米原万里の仕事仲間で、親友でもあったイタリア語通訳者・田丸公美子のエッセイ。副題に「イタリア式恋愛力」とあるけど、恋愛力というよりは、人のもっと多面的な魅力…強さと弱さ、美点と欠点、賢さと愚かさ…みたいなものを描いた群像劇。
観察眼や描写の瑞々しさが見事で、語られる見ず知らずのイタリア人の人生に引き込まれる。人間は豊かだなあという、漠然と幸せな読後感。
特に、6編目の米原万里についての章は、昨日深夜にベッドで読みながら泣いてしまった。
あとがきに、米原万里の実質的な絶筆として、「坂」という短文が載っている。
---以下引用---
「坂」
登るときには希望があって、降りるときには…勇気がいる。
まっすぐで平坦な道は退屈だ。私は起伏にとんだ道が好き。
---
なんでもないような文だけれども、死の直前にこれを書ける人の潔さを思う。男友達だった佐藤優とのエピソードも興味深い。
まっすぐで平坦な道は退屈。昨日も書いたけど、先の見えなさを楽しめるようになりたいと思う。産めるのか産めないのか、仕事で何を成し遂げられるのか。坂を降りる勇気が必要なときを見極める。また、次の坂を登るために。