不妊治療diary

36歳・結婚4年目のオマルが綴る、男性不妊と、働きながらの子づくりにまつわるよしなしごと

ロリコンかつマザコンの男について

【体外1周期目D30】36.95


今日のエントリは(今日のエントリ「も」か?)不妊治療に全く関係ナシ。


昨日、オットとジブリの『風立ちぬ』を観てきた。


結論から言うと、オット、わたしともにここ数年で一番の映画だというところで意見の一致をみた。ちなみに、2人ともたいして映画好きではないので、ここ数年でと言っても数えるほどしか観てないけどw


初めてプラチナシートを利用したんだけど、あれはなかなかいい。お値段分の価値はある。大きな2シーターのソファで、オットマンに足を伸ばしてくつろげる。快適。


鑑賞後、映画館を出てもオットが一言も発しないので、何で黙ってるのと聞いたら、感動したから…とニヤついていた。どうも隣の席で号泣していたらしい。こんなに泣いたのは『ごんぎつね』以来だとか何とかw


そのまま、かに道楽でかに会席をつつきながら感想共有会。(以下ネタバレ)


「よかった。ヒロイン登場した瞬間もう泣きそうだった」

「そんなに?  確かに初登場時、オットさんが好きそうなロリではあった」

「あれは男の理想である。少女でありながら、全てを受け入れる母でもあるという」

「あーはいはい、実在しないけどねそんな女は」

「実在はしない。男の憧れの象徴なのだ。宮崎パヤオの真骨頂だ」

「男はみんな、ロリコンでありマザコンであると?」

「そう!少なくともワシはそう!女目線ではどうなの?」

パヤオが上手いと思うのは、ああいう憧れの女と対比して、地に足ついた女を配置すること。主人公の妹とか、黒川夫人とか。とくに妹」

「あの時代に医者になるって相当だよね。梅ちゃん先生より前だ」

「そう。そのインテリの妹と仲良くなれるわけだから、ヒロインは女にも好かれる女なわけ。非の打ち所なし」

「そりゃ偶像だから」

「なんでブルジョワジーのお嬢でないといけないの? とは思うけど」

「ヴァレリーをフランス語で諳んじるブルジョワ才媛であってこそ、初対面で恋に落ちるのだ」

「まあね。そういうヒロイン像はいつものことだから置いておいて、わたしが思ったのはね」

「ふんふん」

「宮崎パヤオのすごさは、時代の空気とシンクロしてることだと何かで読んだの」

「テーマが? ナウシカと環境破壊の時代みたいに?」

「そう。その伝でいくと、ものづくり神話が崩壊した日本が、復活に向けて苦しんでいる今、ものづくりに取り憑かれた男を描くことの意味は大きいのではないかと」

「なるほど。 プロジェクトX風のあの仕事人間の描き方ね」

「そうそう」

「だが一方で、そういう仕事観、人生観は、衰退、消滅しつつあるとも思う」

「ああ、確かに。今の20代以下は仕事にそこまで人生捧げる意味がわかりません、って言いそう」

「何かを犠牲にしても仕事イコール夢を追う、という価値観はもう古臭い。今、賞味期限ギリギリな感じ。そういう意味で、時代を映してるのか」

「賛否両論あるのも、そのへんが一因かね」


そんな調子で、ひとしきりパヤオ談義に花を咲かせた、愉快な夏休みの1日。